ちょうど一年前、コロナ感染が拡大し始めた頃、アイノラの金管分奏の指導に行きました。シベリウスの2番と6番でした。素晴らしい演奏会になることを予想していましたが、残念ながら演奏会は中止になってしまいました。1年後、同じ曲目での再演が決まり、ほぼ同じメンバーで金管分奏の指導をしました。
1年に渡りたくさんの本番が中止になり、誰もが今までと違う活動をしていたと思います。昨年より不安定になっている人にアドバイスするつもりでした。しかし深刻な状況に陥っている人は居ませんでした。皆さん変わらずしっかり音が出ていました。
アイノラの金管分奏は、”表現”についての話が多くなります。例えば今回、ホルンに「ここはもっと軽い音で」と指示しました。「軽く」という言葉は、安定した音が出せない団体には使わないようにしています。音が安定してないのに音色の変化を求めると、音自体が不安定になって音色どころではなくなるからです。
「軽い音で」と言った途端に1人1人の音が軽くなりました。しかし和音は軽くなりませんでした。原因は音量のバランスでした。「この和音の下の音が強い、内声も強い」など説明すると軽い和音になりました。吹いていた皆さんは、その変化に気付いたでしょうか?厚い和音、軽い和音を吹き分けられるようになりました。
音楽の表現には、実にいろいろな言葉があります。その言葉の解釈に困った経験はありませんか?
「雲の上に浮かぶように」・・?
他にも「ふわふわ」「トロトロ」「さらさら」などなど・・・
一体どうしたらいいのか。
具体的に、発音、音の形、音量、圧力や息の量をコントロールすることによって、イメージに合う音が出るのです。イメージを思い浮かべただけでは音はほんの少ししか変わらず、実際何をしたのか自分でもわからないことが多いと思います。私達プレーヤーは具体的に何をすればいいのか、その結果どんなイメージの音が出るのかを説明すべきだと思っています。
今回、アイノラのホルンパートが軽く吹いた和音は客席に「軽い和音」で聴こえるはずです。本番は聞きに行けませんが、ホルンパートは高い評価を得ると確信しています。
お時間のある人は、ぜひお出かけください。
演奏会は
2021年4月18日(日) 開場:13:00 開演:14:00 杉並公会堂大ホールにて行われます。