2020年、各所でオーケストラ奏者の飛沫はどれほど飛ぶのか実験が行われました。それは舞台上での演奏再開に向けての実験でした。
早々にウィーンフィルのメンバーによる実験結果が公表されました。その結果、「フルート以外は50cm程度しか飛ばない」ことがわかりました。飛沫50cmは普通に呼吸している時とあまり変わらない距離だそうです。
実験ではいったいどんな音を吹いているのか。ハイトーンなのか、フォルテなのか、短い連続音を吹いているかなど状況が不明でした。実験自体が科学的ではないという指摘もありました。しかし私が注目したのは、本題である飛沫の距離よりも使っている息の量でした。
ウィーンフィルの金管は凄い!なぜ凄いのか…
たくさん息を入れているはずがない、とずっと思っていました。今回、この実験のお陰で実際の息の量を目にすることが出来ました。
実験をしたトランペット奏者は主席奏者のハイメルさんでした。サントリーホールで聞く彼の音は、小さい音でもハッキリ聞こえる音です。どんなに難しい曲でも顔色ひとつ変えず吹き続け、絶対に失敗しません。写真では、ベルから前に飛沫がほとんど出ていませんでした。これほどまでに息を使っていなかったのか!! 演奏する上で参考にすべき写真だと思いました。
何度も言葉で説明するより説得力のある写真だと思います。ぜひ皆さんも見てください。
小林正樹