Film Score Philharmonic Orchestraの録音を聞いて

フィルフィルの録音を聞いて

今回のフィルフィルの演奏会は、僕たちの研究会が主催する「北村源三先生の公開レッスン」と同日になってしまいました。残念ながら演奏会には行けませんでしたが、録音を聞かせていただきました。

前回の演奏会で金管、特にトランペットのレベルに驚かされました。今回は…?

ハイトーンを吹き続けたり、大きな音で吹かなければいけない状況で、今回もいい音が会場に響いたと録音から感じとれました。

前回と最も違う印象を受けたのはホルンでした。分奏で密かに力を入れて指導したので、その成果ならとても嬉しいことです。

Tb.Tubは前回同様かっこよく吹いていましたし、しっかりと音が届いていたと思います。

木管も前回より良かったと思います。前回は木管が埋もれて聞こえない印象がありましたが、今回は奏者1人1人の音がよく聞こえてきました。特に目立った失敗もなく、各フレーズも自然でした。

 

金管についてもう少し詳しく

Hrの印象が変わった理由を具体的にもう少し詳しく書きたいと思います。

はっきりと聞こえるミストーンが格段に少なくなりました。”聴かせどころ”もほぼ成功していました。前回より奏法が整理され合理的に吹けた結果だと思います。録音の方がミストーンが聞こえやすい事を考えれば、安定したとても優秀なパートという印象です。

Tb.Tubは前回に引き続き優秀でした。管分奏と本番では多少人数が違うと思いますが、管分奏レッスンでのバランスや音量と変わらず安定した演奏でした。見本にすべきサウンドトラックの演奏を再現していたのではないでしょうか。

さて、トランペットのお話です。門下生のレッスンで事前に楽譜を見ていました。とにかくハイトーンが多い…しかも絶対に失敗してはいけないし、迫力のある音量で吹きたい!目標を高く持って挑んだと思います。本番で大きなミスがほとんどなかったのはすごいことだと思います。お見事‼︎  1stピッコロトランペットのメロディーを2人で交互に吹いたそうですが、違和感がありませんでした。専門的な立場から見て、これはハイレベルです。金管、特にトランペットは1人でオケ全体の音量を超えるほど鳴らさなけれいけない場面がよくあります。フィルフィルの場合は、それがハイトーンで求められるので大変です。前回同様、今回も全体を盛り上げていました。

このオケは全体が大きな音なので、埋もれず迫力のある音で吹くことは容易なことではありません。前回に引き続き好印象の金管セクションでした。

フィルフィルはテンポや音楽の流れが正確です。

実際の録音(サウンドトラック)の現場では、全員がイヤホンを付けクリックに合わせて演奏するのでテンポは正確に録音されています。オーケストラのライブ演奏ではクリックがないので、お互いのコミュニケーションが大事です。テンポの要とも言える打楽器が全体的にいいタイミングで皆を誘導していると思いました。

最後に、Vnのソロが素晴らしかったことも特記すべきと思います。

次回は8月「スターウォーズ特集」の予定でしたが、残念ながら延期が決まったそうです。

分奏の雰囲気がとてもいいことや、独りよがりにならない演奏ができるのは、1人1人の意識が高いことで実現しているのかもしれません。活動を止めることなく長く続けて欲しいと願っています。

東京金管“Blasmusik”研究会 代表 小林 正樹