レッスンを再開で思ったこと

新型コロナウイルスの影響でアマチュアオケの活動が止まっています。いつも使える練習室が使えず、数ヶ月間全く楽器に触れなかった人がたくさん居ました。レッスンを再開し、どのように影響したのかがわかってきました。

私はいつも「金管は筋力で問題解決しようとしても解決しない。もっと考えなければいけない」と言っています。長時間の筋トレの必要がない門下生が増えていますが、数ヶ月のブランクはなかなか経験できるものではありません。楽器を吹くための特別な筋力は間違いなく低下しているはずです。ハイトーンに問題があるならハイトーンの吹き方を修正する必要があります。フォルテが問題ならフォルテ自分の弱点があらわになる2度とないチャンスです!

よく1日休むと取り戻すのに2日かかると言われています。この考えを当てはめると2ヶ月吹かない人は元に戻るために4ヶ月必要になりますが、私の門下生を見る限り当てはまりませんでした。筋力が落ちてフォルテが更に鳴るようになった人がたくさんいました。日頃からハイトーンやフォルテを吹く時に特別な筋肉(楽器を吹くための)を使わず吹くことができていた人は、吹奏能力が低下しなかったと分析しました。

人により色々な症状が出ました。いつくか例をあげましょう。

大学に入ってTpを始めた大学生。1ヶ月ぶりに吹いたのですが、休む前と変わらず、ダブルハイBまで出ました。さらに次の段階である、この音域での分散和音にも挑戦することが出来ました。

ある門下生。以前吹いたことのあるオーケストラの曲を吹いて状況確認してみました。以前より頑張れなくなっていると言いました。筋力で踏ん張っていたので、筋力低下によって頑張れないと感じたのです。鍛えようとしてはいけません。弱くなった筋力で吹ける技術を身につけるいいチャンスだと伝えました。

ある門下生は、ハイトーンは出るのにハイトーンのフォルテが出ませんでした。そここそ!レベルアップするポイントです。今まで、ハイトーンのフォルは頑張って吹いていたのです。毎日吹いていたら気付かなかったことです。

ブランクが原因で力が出なくなったと言った生徒が数人居ました。これもチャンスです。久しぶりのレッスンで頑張らずハイトーンやフォルテを吹いた結果、過去最高の音色になりました。

音は変わらず出るけれど、リズムや音程が悪くなっている人がいました。ブランクがもたらすのは筋力低下だけではありません。楽譜を読んだり指を動かす能力も下がります。人と一緒に吹かないことによって、音程やリズムの感覚が鈍くなってしまいます。自分では自覚しにくので、こんな影響もあると知ることも大切です。

息が吸えなくなったと言った人が複数居ました。しかし出た音は、その人の過去最大の音量で素直な音でした。バテることなく2時間吹き続け、息が吸えないことでフレーズが短くなることもありませんでした。以前ほど息を吸う必要はなかったということです。

皆、久しぶりに吹くことが不安だったと思います。でも実際に吹いてみると思いの外「吹ける!」と思ったのではないでしょうか。今回の経験を大いに生かして下さい。

東京金管“Blasmusik”研究会 代表 小林 正樹